ジャイアン「やっちまった・・・・」スネ夫「・・・まさか・・・・助けて・・・」のび太「・・・・もう・・・だめだ・・・」

ジャイアン「やっちまった・・・・」

スネ夫「・・・まさか・・・・助けて・・・」

のび太「・・・・もう・・・だめだ・・・」

 

ーそれは、4時間前のこと

野球の試合が、今終了した。

参加したのは、いつもの、

ドラえもんのび太ジャイアンスネ夫だった。

結果は、14 vs 3で負けた。

原因は、ジャイアンにぶつかってしまったドラえもんだった。

 

ジャイアン「めずらしいな。ドラえもんがエラーなんて。💢」

 

ジャイアンは、自分にぶつかってきたドラえもんに怒っていた。

 

スネ夫「ほんと・・・めずらしいね・・・💢💢」

 

スネ夫も、珍しいことに怒っていた。

 

ドラえもん「ほんとに、ほんとに、ごめんよぉ〜」

スネ夫ドラえもんなら、秘密道具でなんとかできたんじゃないの?」

ジャイアン「ホントだぜ。そんな事ができなかったのか?青狸」

ドラえもん「僕はたぬきじゃなーい!!💢」

ジャイアン「怒りたいのはこっちの方だよ💢💢💢」

スネ夫「そうだそうだ!」

 

そのころ、のび太は疲れ果てて眠ってしまっていた。

珍しくのび太はエラーをしなかったのだ

 

スネ夫「どんな刑を与えようか・・・」

ジャイアン「ボキッ。ボキッ。」

ドラえもん「ひぃ〜・・・・・」

ドラえもん「悪かったよ!悪かったよ!本当に・・・許してください!」

スネ夫「許せるわけ無いだろ!せっかく、3ボール 3塁で、ヒットでもすれば、点が取れたのに!」

ドラえもん「待ってよ!ジャイアンだって、投げたボール、全部打たれてたじゃん!」

ジャイアン「なんだと?」

ジャイアン「お前のせいで負けたんだろうが!」

 

ジャイアンスネ夫ドラえもんにとてつもなく強力な一撃を入れた。

 

ドラえもん「ぐっ・・・・何するんだ!僕は、のび太くんのために!・・・・」

ジャイアン「そんなことでもやってろよ!だけど、今回は許さないぞ!」

スネ夫「そうだ!自分の責任をジャイアンに押し付けて!許せねぇ!」

ドラえもんは逃げ出した

しかし、それをまた、ジャイアンスネ夫は追いかけた

ドラえもんは、疲れ果てて、行き止まりに追い詰められた

 

スネ夫「さあ・・・・のび太。覚悟はできてるよなぁ」

ジャイアン「ボキッボキッ」

ドラえもん「許して・・・・!ほんとに許して・・・なんでも言うことを聞くから・・・」

 

ドラえもんは顔を地面に近づけた。地面との距離は1mmもなかった

その時、ドラえもんの顔が地面に叩きつけられた

ジャイアンが思い切り踏みつけたのだ

 

ジャイアン「なんでも言うことを聞くなら、俺たちにボコボコにされろ!」

 

ドラえもん「ぐはっ!ゆ・・・る・・し・・て・・・」

スネ夫「黙ってろ!」

スネ夫ドラえもんのポケットのあたりにケリを入れた

ポケットのあたりは、胃になっており、ロボットでも痛いのだ

 

ー10分後

 

ジャイアン「今日はこのくらいで許してやるよ!」

 

ジャイアンたちは、気が晴れたのか、暴行をやめて、その場を去った

 

家路についたジャイアンたちは、のび太に”やりすぎたかな・・・”と思った

 

ジャイアン「ちょっと・・・やりすぎたんじゃねーか?」

スネ夫「でも、悪いのはドラえもんじゃないか・・・」

ジャイアン「・・・・・・・・」

スネ夫「・・・・・・・・」

ジャイアン「やっぱり、やりすぎたんだな。戻ろう」

スネ夫「そうだね・・・」

 

そして、戻ってきて、声をかけると・・・・

 

スネ夫ドラえもん、大丈夫か?さっきはやりすぎたよ」

ジャイアン「そうだ、さっきはやりすぎちまってごめんな」

ドラえもん「・・・・・・・・・」

 

返事はなかった

 

ジャイアン「き、気絶してるだけだろ。すぐに目覚めるよ・・・」

スネ夫「ははは・・・・・・こ、こいつ、息して無いや・・・・」

ジャイアン「・・・・・・・・」

スネ夫「どうする・・・・?まだ小学生で人殺しなんて・・・・」

ジャイアン「だだだだ、だってよ、ドラえもんが悪いんじゃね−か」

スネ夫「実際に警察で、”野球でエラーしたから殺しました”なんて通用しないだろ」

ジャイアン「逃げよう・・・・」

スネ夫「そうだな・・・・このまま見つかって、牢屋の中で暮らすよりはましだ」

 

二人は、ドラえもんの死体を、ゴミ箱に捨てて走り去った

 

二人は、空き地に到着した

その時、のび太が目を覚めた(時刻は20:34)

 

ジャイアン「おい!のび太!いつまで寝てるんだ!もう8時だぞ!」

スネ夫のび太・・・・実は・・・やっぱりジャイアン言ってよ」

のび太「どうしたの・・・?あれ?ドラえもんは?」

ジャイアン「そのことなんだが・・・・・壊しちまった」

のび太「え... ...?

 

当然、のび太は驚く

ジャイアンたちは、状況を説明した

 

のび太「そうだったんだ・・・・で、そのドラえもんはどこに?」

ジャイアン「ゴミ箱の中に・・・」

のび太「そんな・・・・」

 

そして、しばらくみんなは何も喋らなかった

 

ジャイアン「ついさっきまで、ここで野球してたのにな・・・」

スネ夫「うん・・・・」

スネ夫「でも、いつもみたいには戻れないんだ・・・」

 

天気は雨で、三人はずぶ濡れになっていた

 

ジャイアン「やっちまった・・・・」

スネ夫「・・・まさか・・・・助けて・・・」

のび太「・・・・もう・・・だめだ・・・」

 

ジャイアン「・・・スネ夫のび太、行くぞ」

スネ夫「行くってどこに?」

ジャイアン「・・・用水路だよ。ドラえもんは機械だ。水には弱い」

スネ夫「はぁ?こんだけ打撲の跡があるんだよ。どう見えても水死には見せかけられねーよ(じゃあなんでドラえもんはどうやって、海に入ってたんだよ。てかロボット壊して逮捕になるか?)」

ジャイアン「そうか・・・・」

スネ夫「思い切って親に話してみる」

ジャイアン「馬鹿野郎!そんなことしたら即警察呼ばれるだろうが!!」

スネ夫「うちのママ、パパなら隠蔽工作できるかもしれない... ...

      知識のない俺らよりずっとうまくやれる... ...」

ジャイアン「それでお前の母ちゃんがそれを拒んだら?保証あんのか?」

 

スネ夫「・・・どちらにしても、あのゴミ箱には週1で清掃業者がゴミの回収にくる。

あのままはまずい」

ジャイアン「... ...だな。ゴミ箱に戻るぞ」

スネ夫のび太はまた寝てやがる・・・ほらのび太!いくぞ!」

ジャイアン「(のび太はいっつも寝てるなw早くいかないと」

 

ジャイアンのび太スネ夫はゴミ箱の場所へと向かった

 

ジャイアン「ゴミ箱の近くに・・だれかいんぞ」

スネ夫「まずい。清掃業者だ」

 

清掃業者は、ドラえもんの入っている、ゴミ箱に手をかけようとしていた。

その時、スネ夫が清掃業者に声をかけた

 

スネ夫「あー!おじさん待って!」

清掃業者「なんだい?」

スネ夫「ちょっと、ゴミ箱の中に間違って財布を入れてしまったみたいなんだ。

     改めて確認させて!」

清掃業者「ああ、それは大変だね。他のとこに行っているから、早く取り出すんだよ」

スネ夫「よし・・・」

 

3人は、こう思った。

今までのは夢で、今までの生活に戻れたらいいと・・・

スネ夫は、ドラえもんの嘘で、ドラえもんがゴミ箱に入るのは嘘で、

家に帰っていて、また明日、のび太ドラえもんの道具を使って滑り込みセーフして、ジャイと笑って、また野球をして・・・・

 

スネ夫はゴミ箱を開けた

そこにはやはり、友人のかわりはてたすがたがあった。

 

ジャイアン「... ...で、どうするんだ」

スネ夫「ご、ごめn... ...か、考えてない... ...あのおじさんを引き離すことだけ考えてたから...」

ジャイアン「what?おい引き止めたつってもそう長く持たねーぞ!おっさんが戻ってきちまったぞ

 

スネ夫「ちょっとまっt今考えてる!」

清掃業者「おーい!財布は見つかったカーい?」

ジャイアン「おいやべぇ!来たぞ!」

 

意を決したスネ夫はポケットに手をツッコミ、あるものを取り出した

 

清掃業者「そろそろ遠くの配達へいかないt」

 

バチバチッ!

 

清掃業者「か... ...は... ...こ、これh」

 

ドサッ

 

清掃員は、しばらく痙攣したあと、人形のように動かなくなった

スネ夫の手には、黒い物体。それは一見電気ひげそりにも見えた

 

スネ夫「これはKING COBRA SEDAN 90万V、俺なりに改造したがな」

ジャイアン「お前... ...」

スネ夫「護身用だよ(ホントはジャイアン用だったがな、使わなくてよかった。ドラえもんでこんな事になってるんだから)」

 

ジャイアン「ひ、ひ、人増やしてどうすんだよ!このおっさん!どうすんだよ!おい!」

スネ夫「はやく2人を清掃車に乗せるんだよ」

ジャイアン「はぁ?そんなことしてなんになっ」

スネ夫「早くしないとお前も清掃員みたくするぞ」

ジャイアン「よいせっと」

スネ夫「・・・(ジャイアン、これ無視してやがる。)」

ジャイアン「これでいいのか?おっさんを助手席、足元にドラえもんその上に俺様お前が運転席」

スネ夫「ああ、完璧さ」

ジャイアン「お前!免許持ってるのかよ!」

スネ夫「持ってるわけねえだろ!チッMT車か!」

 

スネ夫は覚悟を決めた

キーを回す、軽快な音とともにエンジンが掛かりだした

もう戻れない

 

スネ夫は去年の夏を思い出す

 

スネ夫「そうだ、あの時、パパの友だちが持ってたサーキットで車を運転したんだ」

 

しかし、その時乗ったのはAT車であった為、スネ夫にとってMT車は道の存在であった。

しかし、スネ夫は知識がないわけではなかった

パパが乗っていた、マスタングブリット、あれは確かMT車だったはず

あれに乗りたくて、僕はMT車の勉強をしたんだった

 

スネ夫「まずは、ドアロック・・・」

スネ夫「そして、シートベルト確認、ジャイアン!シートベルトした!?」

ジャイアン「スイートベルトなんてどーでもいいだろ!早く出ろよ!」

スネ夫「無シートベルトは道路交通違反なんだよ!

道路交通法第71条の3
1 自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。

2 自動車の運転者は、座席ベルトを着用しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。

なんだよ!警察に見つかるだろ!」

ペラペラペラペラペラペラ

ジャイアン「人二人殺してんのに、ドーナツもサツもねーだろ!

スネ夫「たしかにw」

スネ夫「じゃ、行くよ!」

スネ夫「まずはクラッチとブレーキを同時に踏み込む... ...

次は、ブレーキを離しアクセルを少し踏み込む」

 

ヴヴヴヴヴヴ

 

スネ夫「そんで、クラッチを徐々に戻す、半分まで止めた時、アクセルを踏みつつクラッチを静かに話す!」

 

ブオーッ!

 

スネ夫「よし!」

 

車は静かに走り出した

 

ジャイアン「動き出したぞ!スネ夫すげぇ!」

スネ夫「へへ、伊達にボンボンじゃないよ!」

スネ夫「よし、2速へ入れてからの3速!」

スネ夫「車を動かせたのはいいとして、このままじゃ外観が危険過ぎる!

     傍から見ても僕は18歳にはとても見えない... ...!」

ジャイアン「そうだな、とりあえず裏山へ行こう!」

スネ夫「わかった!」

 

その時!

 

のび太が、ドラえもんの道具をあさっていたのが不幸だった

のび太が、スモールライトらしきものをドラえもんに当てると・・・

 

ドラえもんが動き出し、のび太が倒れた

 

スネ夫のび太!・・・・」

スネ夫のび太が、死んだ・・・」

ジャイアン「何だと!?」

 

数秒後、ドラえもんは、消えた。どこかに移動したのだろう

 

ジャイアン「くそ・・・なんでだ・・」

スネ夫「でも、人が変わっただけだ。支障はない」

ジャイアン「そ、そうだな・・・」

ジャイアン「それにしても、はぁっはぁっ、このおっさん重すぎる」

スネ夫「それが、ハアッ人一人の重さ、命の重さってやつだよハアッハアッ」

ジャイアン「で、どうする?埋めるか!?」

スネ夫「いや、埋めるのはまずい穴が浅すぎる腐臭をかぎつけた野犬が掘り返            してバレるってケースもあるからね」

 

スネ夫は考えた、よく考えりゃおっさんは気絶してるだけだ、いつ目を覚ますかわからない

大人1人、子供1人をこの世から跡形もなく消す方法

即ち、完全犯罪

 

スネ夫「!... ...なんだ、あるじゃん!」

 

そういえば、いた。僕らの主人公でもあり、不可能を可能にするあれが!

ついさっき、のび太のドジで、生き返ったあいつが!

 

スネ夫ドラえもんがいるじゃないか!」

ジャイアン「そ、そうか!ドラえもんならこの2人を消し飛ばすなんてわけないよな!」

スネ夫「消し去る系統の道具... ...道具... ...」

ジャイアンどくさいスイッチで消すとか!」

スネ夫「あれは懲らしめるためであって、正確に消す道具ではない」

ジャイアン「どこでもドアでヨハネスブルグソマリアあたりに放置するとか!」

スネ夫ドラえもん相手だ、地球上にいればきっと道具で見つかっちゃうよ!」

ジャイアン「スモールライトでミクロ単位まで小さくするとか!」

スネ夫「それも見つかるって!」

ジャイアン「ああああああああもう!!なんかないのかよ!スネ夫!お前も考えろ!人の考えにケチばっかりつけないで!」

スネ夫「僕の知る限り山ほどある」

ジャイアン「あるのかよ!どんなんだよ!」

スネ夫悪魔のパスポート、デビルカード、もしもボックス、... ...極論、タイムマシン」

ジャイアン「はあ?デビルカードは、1mmの身長と300円交換だろ!」

ジャイアン「でも、そのほかにそんなにあるなr」

スネ夫「これは全部危険度Sランクの道具だよ!あのドラえもんがそう簡単に貸すと思う!?」

ジャイアン「タ、タイムマシンで過去にいって!」

スネ夫「時空犯罪だよ、日本の警察よりもっと恐ろしいのが来るよ!」

ジャイアン「じゃあ、どうすんだよ!!!💢ドラえもんに相談するってのは!?」

スネ夫「確かに、ドラえもんなら持ってるかもしてない、のび太を生き返らせるその奇術」

 

気づけばもう夜

まずい、のび太ママとドラえもんが心配しだす頃合だ

時間が立つほど分が悪くなっていく

 

清掃業者「う... ...ん... ...」

ジャイアン「まずいぞ!」

スネ夫「仕方がない」

 

スネ夫はポケットから妖艷なく黒光りの棒状のものを取り出した

シャごっ!ガンッ!

 

清掃業者「ぐっ... ...」

スネ夫「ブラックマジックST-3000、後期型。これももちろん改造した」

ジャイアン「おk」

スネ夫ジャイアン

ジャイアン「なんだよ」

スネ夫「この清掃員の首を絞めるんだ」

ジャイアン「は!?どういうことだ!」

スネ夫「この清掃員は僕達の顔を知っている、生きている以上僕らに安息はない」

ジャイアン「おっ俺は嫌だよ!スネ夫がやれよ!」

スネ夫「いいかい、ジャイアンはもう、ドラえもんを壊したじゃないか、そのせいで、のび太が死んだんだ。子供なら1人も2人も変わらないさ」

ジャイアン「あれはお前も・・・・」

スネ夫「このスタンガンで打たれたいか?」

ジャイアン「お前... ...」

スネ夫「大丈夫、つかまる時は一緒さ」

 

ジャイアンは、清掃業者の上にまたがり首に手をかけた

ジャイアンは自分の体重を欠け、清掃業者の首を絞める

ジャイアンは密かに涙をこぼした

ジャイアンの頬の涙が伝わり、清掃業者の顔元に雫がこぼれ落ちた

 

スネ夫「うっ... ...く... ...」

 

スネ夫も泣いていた

 

スネ夫「大丈夫、死んでる」

ジャイアン「うっ... ...うっ... ...」

スネ夫「さ、山を降りよう、ドラえもんに会うんだ」

ジャイアン「じゃ、相談するんd」

スネ夫「違う、ドラえもんの四次元ポケットを奪うんだ」

ジャイアン「え?(人の台詞の途中でシャベルなや」

スネ夫「僕らの寿命を、80歳と仮定する、あと約70年、隠し通すのは無理だ」

ジャイアン「そ、それじゃあ」

スネ夫「残り70年、逃げるんだよ!四次元ポケットを駆使して」

ジャイアン「ば、馬鹿かよ!相手は未来だぞ!逃げ切れるわけ・・・」

スネ夫「もう時間的に無理だ、空を見てよ。おそらく8時近くを回ってる。ドラえもんがいつ出てきてもおかしくない」

ジャイアン「お前正気かよ!70年?逃げる!?あのな!俺ら未成年だぞ!人一人殺しても逮捕はされない!ましてや小学生だ、少年院に数年いれば戻ってこれるさ!」

スネ夫「... ...少年院を出たあとは?」

ジャイアン「そりゃ、今までのことを悔い改め生きていくしか」

スネ夫「受験、就職、結婚... ...少年院にいた、という肩書がこれから一生ついてまわるんだよ。ジャイアンの家は自営業だろ?少年院出なんて知られたらとてもやっていけないよ」

ジャイアン「う... ...」

スネ夫「僕は名門中学、名門高校を出て東大へ行って国Ⅰとってエリート街道を進むはずだったしかしそれはかなわない、ここから少年院へいって転落人生をするくらいなら... ...!」

スネ夫「僕は道具を選ぶ」

ジャイアン「お前... ...イカれてるよ... ...」

スネ夫「俺らは殺人者だよ、イカれてなきゃ殺人なんかしない」

 

スネ夫は半ば放心状態のジャイを尻目に死体を動かし始めた

死体を草むらの影に隠すと、魂の抜けかかったジャイに声をかけた

 

スネ夫ジャイアン、よく聞くんだ」

ジャイアン「あ、ああ・・・」

スネ夫「真っ向から力づくでポケットを奪い取るってのもありだけど正直言って危険度が高い」

ジャイアン「腕っ節なら自信がある・・・お前が一番良く知ってるだろ」

スネ夫「ポケットはマグネットでくっついてるから取り外しは簡単なはずしかし、その場で奪ってのはとどのつまりその場でドラえもんにバレる、単純にわかるだろ?」

ジャイアン「あ、ああ。例えば目の前で財布取られて気づかないやつはいない・・てことだろ?」

スネ夫「そう、ポケットを奪ってから多少の時間が欲しい... ...となると」

ジャイアン「こっそり奪う、気づかれずに?」

スネ夫「とりあえずドラえもんの出動を抑えるのが先だ、のび太がまだ生きていることを証明するのが大前提になる」

ジャイアン「よし、今日は3人でスネ夫ん家に泊まることにしよう!」

スネ夫「おk,急ごう、もう真っ暗だ」

 

一方こちらのび太

ドラ「んふっふ〜ミ〜ちゃ〜んw」

ミィ「ニャ〜オ」

ドラ「え?のび太くん?あれっ、そういえば帰ってきてないなぁ」

のび太まま「のびドラ〜!ご飯よ〜!」

ドラ「はーい」

ママ「あら、のび太は?」

ドラ「それが、野球の試合に行ったまま、帰ってこないんです。僕は、先に帰ってきたんだけど、のび太くんがまだ・・試合はとっくに終わってるはずなのに。もしかして、なくしたボールでも探させられてるのかな?」

ママ「おかしいわねぇ、ドラちゃんちょっと見てきてくれる?」

ドラ「わかりました」

ドラ「えーと、タケコプターでまずはグラウンドへ行ってみよう... ...あれ、電池切れだ... ...エネループにしときゃよかったな、しかたない、歩いていくか」

ドラ「グラウンドよりジャイアン家のほうが近いからよってくか」

 

〜剛田商店〜

ドラ「ごめんくださーい」

ジャイママ「はーい、あらドラちゃん、たけしならまだ帰ってきてないよ」

ドラ「あれっ?そうなんすか?あざーっした、では」

ジャイママ「たけしにあったら『こんな時間までどこほっつきあるいてんだころすぞカス』っていっておいてね」

ドラ「アイアイサー!」

ドラ「ってことはスネ夫ん家かな?行ってみよう」

 

一方スネ夫

スネ夫「はぁはぁ... ...」

ジャイアンスネ夫!もっと早く走れ!」

スネ夫「ちょっとまってよ−!ジャーい!」

ドラ「あ、」

ジャイアン「げえっ!」

スネ夫ジーザス... ...」

ジャイアン「終わった」

 

 

ドラ「100円みっけ」

ジャイアン「町内会の見回りだ!」

スネ夫ジャイアン落ち着いて、平常心で行けばいい、そうだ、いいね?」

ジャイアン「お、お、お、お、おおおおおおおk」

見回り人「おや君たち、あれ?君は確か剛田商店のむすこだね?こんな時間まで遊んでたのかい?」

スネ夫「ええ、昆虫採集です、カブトムシを探していまして」

ジャイアン「そ、そうヘラクレスオオカブトっつーでっかいのをさ!」

スネ夫「(ジャイアン、馬鹿だろ。いくらとっさとはいえ、ヘラクレスオオカブトってwwwww日本にはいねーよwwwww)」

見回り人「ああ!あれね!あれなら、あれだこの前見たよ、裏山で」

スネ夫「((´゚ω゚):;*.':;)」

スネ夫「は?(このおっさんも馬鹿だなw日本にはいな... ...いた。)」

ジャイアン「うわ!すごいな!スネ!夫!今度行こうぜ!」

見回り人「さぁ君たちは帰りなさい、親御さんが心配するよ」

ジャイスネ「「はーい」」

スネ夫「あのおっさんがアホで良かった」

スネ夫「さぁ、急ごう」

ジャイアン「あ?どういうことだ?」

スネ夫ヘラクレスオオカブトは日本にいねえんだよ」

ジャイアン「でも、あのおっさんいるっていってたぞ?」

スネ夫「見間違いだろ」

 

ドラ「しかもこれ昭和53年じゃん!ほんで... ...うっはーギザギザついてるwwwwwこれは売れるぞ」

ドラ「... ...いかん。先を急ごう」

 

ドラの拾った100円玉が昭和63年だったことが幸いしたのか、

先にスネ夫宅へついたのはスネ夫班だった

 

スネ夫「ただいママ!」

スネママ「おかえりなさいスネちゃま!随分遅かったのねェ!あら、たけしさんも一緒なの?」

スネ夫「うん、今日はジャイアンのび太が泊まるから布団とご飯用意してくれる?」

スネママ「マァ−ッ!了解ザマス!... ...ところでのび太さんはどこザマスか?」

スネ夫「ああ、グラウンドにグローブをおいてきちゃったらしくて取りに行ってるよ」

スネママ「さいザマスか、んじゃあのびママさんへ電話するザマス!」

スネ夫「おk」

スネ夫「... ...」

ジャイアン「... ...」

スネ夫「今頃ののび太ん家ではとまりだって知ってるはず、そうすれば今晩はのび太の身柄を預かることができる」

ジャイアン「でもお前のママだってのび太を一回も見なきゃ怪しむぞ!」

スネ夫「そこは対策済み、僕の家はプライバシー尊重人間だからね基本的にこの部屋には誰も来ない、来るとしてもノックは必ずする」

ジャイアン「へー」

 

ピーンポーン

スネ夫「... ...この気・・・まさか」

ジャイアン「?」

 

スネ夫ダッシュで玄関へ向かい、階段は5段飛ばしできた

 

スネ夫「ひゃっほーう」

スネママ「危ないザマスよー」

ドラ「ごめんください」

スネ夫「はーい、何だドラか(やはりDモン)」

ドラ「夜遅くにすまん、のび太来てる?」

スネ夫「ああ、今日は、うちに泊まることになってるけど、聞いてない?」

ドラ「あ、そうなの?のび太くんは二階?」

スネ夫「ああ、ジャイアンとオセロやってるぜ」

ドラ「ジャイアンのび太ひっくり返してリアルオセロしてるんじゃね−か?」

スネ夫「wwwwwwワロタ、まあ、のび太のことだから角はジャイアンに譲るだろ」

ドラ「はは、実は俺飯まだなんだわ」

スネ夫「へぇ」

ドラ「まだなんだわ」

スネ夫「だから?」

ドラ「上がっていいか?晩飯だけ食ってく」

スネ夫「あ、うちの家5人乗りだから」

ドラ「それじゃ仕方ないな、変えるよするよ」

スネ夫「うん、ばい、青狸」

ドラ「... ...家が5人乗りってなんだよw」

スネ夫「だから5人までしか入れねえんだよ」

ドラ「俺今入ってるじゃん、6人目じゃん」

スネ夫「いや、玄関入れない」

ドラ「6人目はいると?」

スネ夫「家が潰れる」

ドラ「でも前しずちゃんと、ジャイすねのび太俺で来てたけど」

スネ夫「いや道路交通法上だと、12歳以下の子供3人で成人2人に換算するから」

ドラ「今もいいじゃん、パパママの成人2人に子供3人=成人2人、2+2で一人余るじゃん」

スネ夫「いやいや」

ドラ「あん?それとも青狸家宅進入禁止法なんてあるのか?」

スネ夫「あるよ」

ドラ「嘘つけよ、そんな法律ね−よ、ほら『法律一覧表』」

ドラ『青狸家宅進入禁止法』

機械『ありません』

ドラ「ほらな」

スネ夫「ドンドンジャラジャラドンジャララ〜」

ドラ「それ次歌ったら殺すからな」

スネ夫「とりあえず、今日は3人で語り合いたいんだよ、わかってくれ」

ドラ「OK,OK今日は手を引こう」

スネ夫「ありがと、心配しなくても死にゃ〜しないから」

ドラ「ん?」

スネ夫「え?」

ドラ「死ぬって?」

スネ夫「だから例えばの話よ」

ドラ「よく考えてみりゃVSジャイアンのオセロでこんな静かっておかしいな」

スネ夫「ああ!!こんなに!!ジャイアンvsのび太!たしかにおかしいな!wwwwwwwwwww」

 

--------------

ジャイアン「そういうことか... ...おし」

ジャイアン「おいのび太!人の角取ってんじゃねえよ!ぶん殴るぞ!」

ジャイアン裏声(のび太役)「う、うわわぁ〜かんにんしてつかあさい〜」

ジャイアン「ギッタギタにしてやるーーーー!!!」

スネ夫「... ...ね?」

ドラ「なんでのび太広島弁なんだよ」

ドラ「っていうかギッタギタにされる3秒前じゃん、上がらせてもらうわ」

スネ夫「あ、やめたほういい」

ドラ「なんで?」

 

スネ夫「家が潰れるのと、ネズミ繁殖してるわ」

ドラ「... ...ほう」

スネ夫「そこの階段前の押入れで育ててんだ」

 

ドラ「... ...へえ」

スネ夫「あ、どうぞどうぞのび太は2階です」

 

ドラ「あー、あれだ、プリズンブレイクのシーズンⅢ始まるわ」

スネ夫「うちにあるよ、一緒に見よーぜ2階で」

 

ドラ「いや、オレ一人で楽しむ派だから、ワイワイやるの好きじゃね−から」

スネ夫「うち個室あるよ、ビデオデッキあるし」

 

ドラ「いや、お前らの超え筒抜けだし、人ん家ってのがダメだわ」

スネ夫「あー、じゃあ仕方ねえ」

 

ドラ「じゃ、のび太によろしく、残念だわー」

ドラ「あ、あとジャイママがなんつったっけーあー、『こんな時間までどこほっつきあるいてんだころすぞカス』だって」

スネ夫「え?俺?」

 

ドラ「いや、ジャイアン

スネ夫「ああ、なんだ」

 

ドラ「じゃ、」

スネ夫「おう」

 

スネ夫ドラえもんやっと帰ったぜ」

ジャイアン「ふぅ、ドラえもんて案外疑り深いんだな」

スネ夫「あと、君のママが『こんな時間までどこほっつきあるいてんだころすぞカス』だってドラえもんから伝言」

スネ夫「とりま、夕食食べよう」

ジャイアン「3人分...か」

 

スネ夫のび太の誰が食う?」」

ジャイアン「いいよ、俺腹減ってないから」

スネ夫「あ、そう」

スネ夫「今日、深夜にのび太の家に忍び込む」

ジャイアン「四次元ポケットだろ?」

 

スネ夫「簡単にはイカねえ」

ジャイアン「ドラだからな、見つかったら言い訳すらできねえ」

ジャイアン「お!それはマーマー棒じゃねえか!」

 

マーマー棒:先端にばつ印がついたスティック状の道具

      これを怒っている相手の口元につけ「マーマーマー」と唱えると

      その対象は怒りを抑え、「ま、いいか」となる

      しかし、やりすぎると爆発する

ジャイアン「いつしかお前これで俺を散々なめにあわせてくれたよね、スネ夫くん?」

スネ夫「マーマーマー」

ジャイアン「ま、いいか」

スネ夫「よし、埃被ってたけど十分使えるな」

 

スネ夫ドラえもんを無力化はできる。どうやって遺影に侵入するか」

ジャイアンピッキングなら俺に任せろ!ww」

 

スネ夫「は?できるのか?」

ジャイアン「これでもうちは雑貨屋だぜ?ダテに針金を㍍売りしてないぜ」

スネ夫「はぁ、じゃあジャイアンに任せる」

スネ夫「実行開始は夜の2時」

ジャイアン「何してるか?」

スネ夫「トランプ」

のび太

 

ドラ「ただいま」

ママ「おかえりなさいドラちゃん、のび太ねぇ」

ドラ「あ、今日は泊まるそうです」

ママ「スネママから連絡あってねぇ、ごめんね」

ドラ「いえいえ、お腹ペッコペコだ。ついでにプリズンブレイクⅢ始まる!」

ママ「温め直してくるわ」

ドラ「ジャイアンにいじめられないかな」

 

スネ夫「革命」

ジャイアン「革命返し」

スネ夫「革命返し返し」

 

ジャイアン「... ...キングの3ペア」

スネ夫「2の3ペア、ジャイアンある?」

ジャイアン「... ...」

スネ夫「ないんだね、8切り、4出してはいあがり」

 

ジャイアン「... ...おもしろいか?これ」

 

スネ夫「1時50分、そろそろいこう」

 

スネ夫「ところでジャイアン?そのハンマーは何だ」

ジャイアン「護身用」

ジャイアン「ついでに、ここへ戻ってこれないかもしれんから、必要なものを詰めてきた。漫画、ジュース、飲み物、お菓子、懐中電灯、ピッキング道具、プラスチックの剣、その他」

スネ夫「(いらねえもんばっかり)」

ジャイアン「じゃあ、チャイムを」

スネ夫「おい待てよ」

ジャイを停止させたスネ夫は、そのへんにある石を2,3個集めた

スネ夫「窓に投げつけて」

ジャイアン「わかった」

スネ夫「割るなよ?割るのが目的じゃないからn」

ジャイアン「そーれ」

 

ヒュッ          パキッ!

 

スネ夫「おい」

ジャイアン「え?」

スネ夫「えじゃねーよ、割ったらのび太ん家起きるだろうが」

ジャイアン「割ってどんな反応するか見るんじゃねーの?」

スネ夫「もういいや、早くピッキングしろ」

ジャイアン「おう!」

 

スネ夫「(いてえ)」

ジャイアンに殴られた

 

スネ夫「なんでハンマー持ってんだよ」

ジャイアン「いくぜ俺様のピッキング技術」

スネ夫「ねえジャイアン様待ってよ

 

ジャイアンは思いっきりのび太ん家の正面ドアノブにおもっくそ打ち付けた

 

ガァンッ!!!!!

 

凄まじい金属音が鳴り響き、ドアノブが少し傾く

 

ジャイアン「ふぅ、一打目はこんなもんか、」

スネ夫「そんなのピッキングじゃねえよピッキング道具使え... ...ってこれ、ナットとドライバーじゃねえか!どこがピッキング道具だよとりあえず隠れろ」

 

ジャイアン「なんだよ!これがサムターン回しっつーんだろ!?」

スネ夫「サムターン回ってねえ上にそれサムターン回しじゃねえよ」

ジャイアン「そーなのかわりぃ」

スネ夫「... ...それにしても静かだな あれだけ音がしといて誰も起きないのは奇跡かもしれない」

 

ジャイアン「結果オーライだな」

スネ夫「オーライじゃねーよドアどうすんだよ」

 

ジャイアン「そうだこれがあるわ」

スネ夫「ガムテープ?」

ジャイアン「これを、ドアのガラス部分に貼っていって」

 

その様子を2階からのぞく2つの目があった

 

スネ夫「なるほどな、」

 

そうするとジャイアンは肘鉄をドアにぶちかまし

 

ゴシャッ!

 

予想以上に音が大きかった

 

スネ夫「まだ寝てんのか?さっきからあれだけ大きな音を立ててるのに」

ジャイアン「ま、のび太の親だからな、納得できるぜ?」

スネ夫「あいた」

ジャイアンスネ夫いけ」

スネ夫「オッケー」

 

スネ夫は右手にマーマー棒をかまえ、左手をポケットの中へ突っ込む

ドアを開けてゆっくり進む、先は一面真っ暗で見えないが、何度か来たことがあるので部屋の配置はだいたい分かる

問題は3人がどこで寝てるかだ

ドラは押入れ、パパはのび太の向かい、

じゃあ、ママはどこで寝てる?

廊下を慎重に進み、階段へたどり着く

人の気配はない

 

慎重に階段を上がっていく

家を立ててもう古いのか、一段一段、上がっていくと板がギシ、ギシ、となる

音が余計大きく聞こえる

階段を登り終えると突き当りは行き止まり、その両側に部屋がある

左はのび太、右はのびパパ

スネ夫ジャイアンジェスチャーで、「中の・様子を・伺う」

ジャイアンは親指をグッと立てて了解するとともにハンマーを取り出そうとした

うネオはそれをサイレントに、かつ必死に止める

 

スネ夫は、そっとふすまを1cmほど開け中の様子を見る

部屋は暗く誰もいない

普段ならのび太が布団を敷いてネルが、

そののび太はもういない

 

ドラ「誰だ!」

 

突如現れたドラえもんに、2人は一瞬怯んでしまった

同時に電気がつく、向かいの襖から妖艷な蒼いボディのドラえもんが現れる

ドラえもんは物音がしたときからパパの部屋に待機しこそ泥を待ち構えていたのだ

 

ドラ「あれ!ジャイアン?と後ろにいるのは... ...スネ夫?なんでここに」

 

予想もしなかった深夜の友人の訪問にドラえもんは目を欺いた

その時ジャイアンを影にしていた、スネ夫が動く

 

その右手にはマーマー棒

 

これが見知らぬ泥棒であったらドラはすでに勝負をつけていた

しかし今向かってきているのは幾多の冒険をともにしてきた仲間、友人である

 

それがドラえもんに一瞬の空虚ができてしまった

 

スネ夫の握るマーマー棒に異変を察知したドラえもん

スネ夫より一瞬遅れて予め出しておいた空気砲を、スネ夫の右手に打ち込む

 

空気砲を受けたスネ夫の手からマーマー棒が吹き飛ばされる

と同時にスネ夫は体を軸にして、ねじるような格好から左のポケットに突っ込んでいた手を出す

その手にはスタンガン

この先読みプレーのおかげで勝利の軍配はスネ夫に上がった

ドラえもんはガクガクと機械らしい動きをしたあと、白目を剥き、動かなくなった

 

スネ夫「... ...ふぅ」

スネ夫「You are not my match(相手が悪かったな)」

 

ジャイアン「な、なんだこれ」

 

かろうじて出すことのできた言葉であった

一瞬であったが友人同士の対決を目の当たりにして

らためて自分は非日常にいるのだと悟った

 

スネ夫「まぁあれだけジャイアンが音立ててドラえもんが気づかないはずないからね」

ジャイアン「す、すまn」

 

その答えはすぐ見つかった、ドラえもんの待機していた部屋、即ちパパの部屋にどこでもドアがあった

扉は閉じている

 

スネ夫「なるほど」

ジャイアン「な、どういうことだ?スネ夫

スネ夫「あらかじめパパママをドコドアで安全な場所に避難させてたんだ」

 

ジャイアン「するってーと、この先に二人がいるのか」

スネ夫「たぶんね、こっちに戻ってこないうちにドアをしまっちゃおう」

 

スネ夫は動かなくなっているドラえもんからポケットを剥ぎ取り、どこでもドアをしまいこんだ

 

ジャイアンドラえもん... ...死んでないよな?(つーかどうやってスネ夫は60kg以上あるどこでもドアをしまった)」

スネ夫「改造したって行っても、人間に食らわせて数十分ノビルくらいだよただロボットには試したことがないからわからないけどね」

ジャイアン「... ...ドラえもん死ぬなよ... ...」

スネ夫「確かこの辺だったはず」

スネ夫「あった!スペアポケット」

 

スネ夫「さて、本当はここでドラえもんも処分したいところだけど」

ジャイアン「お、おい!目的はドラえもんからポケットを奪い取るだけだろうが!」

スネ夫「たしかにね、でもドラえもんがおきてポケットがないって気づいたらとりあえず未来へ行くと思う 少なくとも僕ならそうする」

ジャイアン「それでも!ドラえもんは俺らの大事な心の友だろうが!」

スネ夫「その心の友の友を殺したのは僕らじゃないか」

ジャイアンドラえもんを殺しても殺さなくても、いずれ未来にはバレる」

スネ夫「まぁそうだね、僕らはドラえもんの私生活の一部しか知らないから毎日未来の機関と連絡を取り合ってるかもしれない」

ジャイアン「じゃあ、殺しても殺さなくてもどっちでもいいじゃねえか」

スネ夫「... ...」

スネ夫「なんか外が騒がしいぞ!」

ジャイアン「まずいな、近所の人が集まってる」

スネ夫「そりゃあ、ジャイアンのドアノブガキーン、ガラスガシャン、空気砲ドカン、まあ、気づくだろ」

ジャイアン「うわーパトカーだ」

ジャイアン「ドドドドドドドドド、どードラえもんって、どうすんだよ!スネ夫!俺ら捕まるぞ!」

スネ夫「こっちにはポケットだよ?現代社会vs未来社会なら、未来社会が勝つだろ」

スネ夫「とりま裏山へ」

 

二人の遺体は、すでに目が乾き、紙ふうせんのようにパリパリになっていた

 

スネ夫「とりあえずこの2人かさばるよね」

ジャイアン「かさばるってものじゃないんだから」

スネ夫「はい、取り込みペーパー」

ジャイアン「その紙の上に物体を置くと紙に取り込まれて

      取り込んだあとも髪の重さは変わらないから重たいものでも

      持ち運べるっていう取り込みペーパーじゃないか!」

 

伸びたとおじさんを取り込んだあと、紙を折りたたみスネ夫はポケットにしまいこんだ

 

ジャイアン「いまごろのび太んちはどうなってんだろうな」

スネ夫「警察が来て、まずドアが壊れていることに気づく 警察は中に踏み込んで人がいないことを不審に思う」

ジャイアン「すると?」

スネ夫「まずは強盗か、あるいは誘拐の線で操作するだろうね しかし金目の物が盗まれてない、となると」

ジャイアン「と?」

スネ夫「集団失踪、あるいは夜逃げ」

ジャイアン「でも気絶させたドラえもんがまだ家にいる」

スネッと「うん、ドラえもんが気づいて、警察に事情を話す」

ジャイアン「俺らは改めてお尋ね者ってわけか」

スネ夫「そういうことだね」

ジャイアン「これから逃亡生活か... ...」

 

逃亡生活と行ってもまだ二人は小学生

これからまだしたいことだってあるし、ぼんやりではあるが将来の夢だってある

家族、友人、これまでの自分の一切を捨てて

これから一生死ぬまで見えない数々の敵から逃げなくてはいけない

道具があるとはいえ、小学生にとってこれから先は

あののび太ん家の廊下より遥かに暗いものであった

 

ジャイアン「全部なかったことにできたら... ...」

スネ夫「もしも、今までのが夢だったら、ってか」

ジャイアン「あ」

スネ夫「あ」

 

ジャイアンもしもボックス!」

スネ夫「... ...僕もそれを考えてた、でもね」

ジャイアン「もしものび太が死んでなかったら!

      もしも今までのことがすべてなかったことだったら!」

スネ夫「あのねジャイアン、僕だって逃亡生活は嫌だよ 逃亡生活は最後の最後どうしようもならなかったときにしようと考えてた」

ジャイアン「だから!もしもボックスがありゃ全部元に戻るんだよ!」

スネ夫ジャイアンのび太はあの時死んでいた、脈も調べたし、瞳孔、心臓も調べた

     もしもじゃない、完全に死んでいたんだ」

ジャイアン「ですから!!それがなかったことにできるのがもしもボックスだろうが!」

スネ夫「とどのつまり視認を生き返らせる?倫理的に考えてそんなことが許されるの?

     それができるのならなんで未来にはいまだに葬儀屋があるんだい?」

ジャイアン「... ...」

スネ夫もしもボックスでもできることと、できないことがあるんだよ

    第一成功しても、時空犯罪法に引っかかる、未来を変えることになるからね」

ジャイアン「... ...でも、ドラえもんだって、のび太の未来を変えるために来たんじゃね−か!」

スネ夫「それは、道具を使わないで(もしもボックスを使わないで)、ほとんど自分の力でクリアしたじゃないか!自分の力ならいいんだよ!道具を使うと、ダメなんだよ!もう過去には戻れない」

ジャイアン「でも俺は試してみたい」

スネ夫「いい加減にしてくれよ、そのなかったコトにできたらって思考をやめてくれ。僕らはのび太を殺してしまったんだよ。何百の道具を使おうと、幾千の未来を変えようとも、僕らは、のび太を、殺してしまった、っていう事実は消えないんだよ!」

ジャイアン「わぁってるよんなこと!でもよ!んなこと行ったら俺らはどうすればいい?

      お前だって行っただろ!警察は嫌だって!エリート人生から外れる!?

      友だちを殺してエリートなんざちゃんちゃらおかしいんだよ!」

スネ夫「僕らにできることは... ...十字架を背負うことだ」

ジャイアン「十字架?その道具を使えばのび太は戻ってくるのか?」

スネ夫「違う、僕らはのび太を殺した、それは揺るぎない事実だからこそその事実を胸にのび太の分まで生きる責務があるってことだよ」

ジャイアン「十字架... ...」

ジャイアンをみてスネ夫は思った

こいつはきっと今なんでもいいから救いを求めてる

いつもは威張り散らしてるくせにこういうシリアスな展開になるととたんに脆くなる、典型的な卵人間

ちょっと、危ないなこいつ

この状態じゃ自責の念に耐えきれず、十字架を放棄して一切合財をゲロってしまうかもしれない

それだけは避けたい

スネ夫「わかったよジャイアン

ジャイアン「え?」

スネ夫「いいかい?僕らがのび太を殺した事実は変わらない、だよね?」

ジャイアン「ああ」

スネ夫「かといって警察へ行って云々でさばきを受けるのは現代の手法であって、それが正解ではない、言ってることわかる?

ジャイアン「罪を償う方法は1つじゃないってことか?」

スネ夫「そう、現に世の中には人を殺して刑務所に入ってでてからまた人殺しを始めるやつもいるだろ」

ジャイアン「ああ、ニュースでたまにみる」

スネ夫「そういうやつにとって刑務所は何の意味もなさないだろ?だから警察に行くってのはただの選択肢の一つであって僕らには僕らの罪の償い方があるんだよ」

ジャイアン「おお」

スネ夫のび太を殺したってことなかったことにするんじゃない、僕ら二人の中に永遠に刻むんだ、僕ら二人の中に、ね」

ジャイアン「俺らだけ?」

スネ夫「恥ずかしい話、僕もなかったことにできたらどんなにいいかって思ったでもそれじゃダメなんだよ、のび太は大事な友だちだ、今でもね。友達にひどい目を合わせてなかったらなんてムシが良すぎるだから僕らの中で十字架を背負うんだ」

ジャイアン「僕らの中だけ?別の選択肢?意味がわからなくなってきたぞ」

スネ夫「まぁ早い話、のび太が死んだってのは僕らだけの秘密にして、道具使いまくって隠蔽工作しまくって、僕らはこれから普通に生活しつつのび太への贖罪、罪滅ぼしするってことだよ」

ジャイアン「っておい、そんな事できるのか?」

スネ夫「... ...あんなこといいな、できたらいいな」

ジャイアン「... ...あの殺人、こんな殺人、いっぱいあるけど〜... ...」

スネ夫「みんなみんなみんな、揉み消してくれる不思議なポッケで揉み消してく〜れ〜る〜... ...」

ジャイアンのび太の死〜を隠蔽した〜いな〜...」

スネ夫「はぁ...そんなことをしたいよ...」

ジャイアン「... ...」

スネ夫「こっちにはポケットが有る、隠蔽工作の道具なんか山ほどあるんだよ」

スネ夫「タンマウォッチ、ターンマ!」

ジャイアン「何も変わらねえな」

スネ夫「今は僕らしかいないから」

スネ夫のび太んちへ!」

ジャイアン「うわっ¥!警察!」

 

のび太の部屋ではちょうど警察官2人が踏み込んだときのようであった

1人が部屋を見回る様子で、もう1人が動かないドラえもんに何かを訴えてるようだった

 

スネ夫ジャイアン落ち着いて、時間は止まってるんだから』

ジャイアン「わ、わかってるけどびっくりするだろJK... ...で、どうするんだ」

スネ夫「ドラキュラセット、そしてバキューム蚊」

ジャイアン「それはドラキュラ化するマントとキバ! 血を吸うのではなく、脳みそから記憶を吸い取るための道具 これを付けていれば、体がコウモリのように小さくなり、空を飛べる ただし、ニンニクや十字架に弱くなるというドラキュラセットと ヘルメットをかぶると蚊に変身でき刺した相手に忘れて欲しい記憶を 管から吸い取ることができるバキューム蚊だな!」

スネ夫「ご苦労」

スネ夫「一応、両方使っておくと安心だ」

ジャイアン「俺バキューム蚊やるわ」

スネ夫「オッケー」

 

スネ夫がドラキュラセットを身に着けると煙と共にコウモリの姿に変身した そしてドラえもん、警察官、外にいる野次馬の記憶を次々と吸い取っていく 一通り吸い終わると部屋に戻った

 

スネ夫ジャイアンこっちは終わったよ」

ジャイアン「こっちも粗方終わったとこだ」

スネ夫「次はこいつらを元の位置に戻さないとだね」

ジャイアン「こいつら全員をか?疲れそうだな……」

スネ夫「だから道具があると何度言えば(ry」

ジャイアン「あ、そうか」

スネ夫「それにはこれがいいかな……かるがるつりざお」

ジャイアン「名前からどんな物か推測できるのでここでは省略します」

スネ夫「誰と話してんの?」

ジャイアン「なんでもない」

スネ夫「どこでもドアも併用しようか」

ジャイアン「……この人でラストだ」

スネ夫「よし、とりあえず元通りだね」

ジャイアンドラえもんはどうする?」

スネ夫「とりあえずタイム風呂敷使ってスタンガン食らわす前の状態にする」

 

スネ夫はタイム風呂敷を取り出すとドラえもんに被せた 風呂敷を捲るとジャイスネが来る前の寝てる状態のドラえもんに戻っていた

 

スネ夫「よし、これでとりあえずは隠蔽した」

ジャイアン「これからどうするんだ?」

スネ夫「僕らは今本当なら僕ん家で2人、いや3人で寝てるはずなんだ」

ジャイアン「じゃ戻るか」

スネ夫「そうしよう」

ドラえもんを押入れの中に戻し、ポケットを元通り装着し、スペアポケットを元あった場所へ隠し ジャイスネはスネ夫宅へ戻った

 

スネ夫「ふぅ」

ジャイアン「とりあえずひと段落か」

スネ夫「そうだね」

ジャイアン「それで、のび太はどうなってことにするんだ?」

スネ夫のび太は夜グローブを取りに行ったってことになってる」

ジャイアン「でもドラえもんにはその時2階にいるって言っちゃってるよな」

スネ夫「そうか……」 スネ夫は少し考えた後

スネ夫「僕らにからかわれて家を出てっちゃったってことにしよう」

ジャイアン「わかった」

スネ夫「じゃ、タンマウォッチを戻すよ、やり残したことはないね?」

ジャイアン「多分大丈夫なはずだ」

 

スネ夫は再びタンマウォッチのボタンを押した、止まっていた時間が動き出す

二人は押入れから布団を出し、その上に寝転んだ 今日一日だけで色々あった……午前中は野球をし、午後は……もう考えるのはよそう 二人とも精神的、肉体的にも疲れはピークであった

 

ジャイアン「明日から俺らの新しい日が始まるんだな」

スネ夫「そうだね、くれぐれもボロを出さないようにね」

ジャイアン「わかってる」

スネ夫「じゃあおやすみ」

ジャイアン「ああ、おやすみ」

スネ夫「あ、明日は5時起きだからね」

ジャイアン「なんでだ?学校に行くには早すぎるだろ」

スネ夫「いいから」

ジャイアン「わかったわかった」

スネ夫ジャイアン起きて」

ジャイアン「ごぉぉぉぉぉ」

スネ夫「JA-I-A-N」

ジャイアン「ンガァァァァ」

スネ夫「ジャーイアーン!」

ジャイアン「ズゥゥゥゥゥ」

スネ夫「出ベソ」

ジャイアン「何?」

スネ夫「あ、ジャイアンおはよう」

ジャイアン「おおスネ夫かおはよう、のび太はまだ寝てんのか?ったくしょうがねえな」

スネ夫「……」

ジャイアン「……あ……わりぃ」

スネ夫「下へ降りよう、話は僕にあわせて」

 

スネ夫はそう言うとジャイアンを連れて1階へ降りた

スネ夫は1階へ降りてすぐにある部屋へ入った 部屋に入るとマダムな香水の芳しき匂いとピンクの壁紙がジャイアンを出迎えた

 

ジャイアン「うわっなんだこの匂い!」

 

スネ夫はもう慣れているのであろうか、表情を変えず部屋の奥にあるベッドへ向かった

 

スネ夫「ママ、起きて」

スネママ「……ん……スネちゃまなんザマスか?」

スネママが眠たそうにその体を起こす

ジャイアン「うわっなんでお前の母ちゃん裸なんだよ!!」

スネママ「裸で寝ると美容にいいんザマスよ」

ジャイアン「目が腐る……」

スネ夫「ママ大変なんだ、朝起きたらのび太がいないんだ」

スネママ「なんざますって!?のび太さんが!?大変ザマス!!」

スネ夫「昨日僕らがからかって……それっきり出ていっちゃったんだ……」

スネママ「マァー!スネちゃま泣かないザマス!お家に戻ってるかもしれないざますよ!」

スネ夫「そうかな……じゃあジャイアンのび太の家へ行ってみるよ!」

スネママ「ママはのび太さん家へ電話するザマス!」

スネ夫「行こうジャイアンのび太の家へ」

 

家を出るとスネ夫のび太の家とは反対の方向へ向かった

ジャイアン「おいスネ夫のび太ん家はそっちじゃねーぞ!」

スネ夫「いいからついてきて」

 

ジャイアンスネ夫の後を追ったついたのは町外れの用水路であったここでは毎年子供が用水路に誤って落ち、死亡するという事件があった為学校では近くを通らないように十分気をつける、と先生が言っていたスネ夫はポケットからタンマウォッチを取り出すと用水路の中へ投げ込んだ

ジャイアン「おい捨てちまうのか?」

スネ夫「これでいいんだ」

スネ夫「さ、のび太の家へ向かおう」

 

スネ夫のび太の家のチャイムを鳴らした

スネ夫「すいませーーん!」

スネ夫「すいませーーん!」

ジャイアン「おタバコは?」

スネ夫「すいませーーん!」

ママ「はーい……あらスネ夫さん、どうしたのこんな朝早く……」

スネ夫「あの、のび太君戻ってきてますか?」

ママ「え?のび太ならスネ夫さんの家にいるんじゃないの?」

スネ夫「じつはかくかくしかじかで……」

ママ「ええっ!?のび太が!?大変だわ!!」

スネ夫「僕らも心当たりのある場所を探してみます!」

ママ「ええ、お願い!ドラちゃんにも協力してもらいましょう!」

ママ「ドラちゃーん!」

ドラ「どうしたんだいこんな朝早くに……」

スネ夫「実はかくかくしかじかで」

ドラ「なんだってーのびたくんがあーそれはたいへんだ」

スネ夫「なんかのび太を探す道具無いの?」

ドラ「これがある、……えーと、あった たずねびとステッキー!」

ジャイアン「やっぱ本家は違うなスネ夫

ドラ「本家?」

スネ夫「いやなんでもないよ、早く探そう!」

ドラ「のび太君の居場所を教えて」

ドラえもんはそう唱えるとステッキを放り投げた しかし放り投げられたステッキは倒れることはなく物理法則を無視し、直立不動のままであった

ドラ「たずねびとステッキが反応しない……だと……?」

スネ夫「それは……どういうこと?」

ドラ「……通常たずステは地球上に存在するならば 地球の裏側にいてもちゃんと反応して道を示してくれるはずなんだ」

ジャイアン「それが反応しないってことは……」

ドラ「どこか別次元にいる……あるいはこの世にいない、とか……」

スネ夫「それはたいへんだw」

ジャイアン「おーw」

ドラ「おほほw」

スネ夫「うーん、タイムマシンでどっかに遊びに行ってるとかかなぁ?」

ドラ「今見てきたけどタイムマシンはあったよ、おかしいな……」

ドラ「じゃこれを使おう、……強力においついせき鼻!」

ジャイアン「これも又名前から推測できますので省略という形にさせてください」

スネ夫「だから誰と喋ってるんだよ」

 

ドラえもんは強力においついせき鼻を自分の鼻にくっつけた

 

ドラ「フゴフゴ、フゴフゴ」

スネ夫「……」

ジャイアン「……」

ドラ「フゴフゴ、フゴフゴ」

スネ夫「……」

ジャイアン「……」

ドラ「フゴフゴ、フゴフゴ」

スネ夫「ブフッw」

ジャイアン「w」

ドラ「おい笑うなよw」

ドラ「……」

スネ夫「で、フゴえもん、いやドラえもんのび太は見つかりそう?」

ジャイアン「……ドラえもん?」

 

さっきまでの和やかなムードから一変、ドラえもんの表情が険しくなった

 

ドラ「さっきのたずステあったよね……」

スネ夫「うん」

ドラ「あれは未来でも古い品でね、命中率が70%な上によく故障するんだ」

スネ夫「そうなんだ」

ドラ「でも今のは違う、比較的新しい道具で、命中率はほぼ100% ましてや自分の家の前なんてのび太君の匂いがつきまくってるはずなのに……」

 

ドラえもんはポケットをまさぐるともう一つ道具を出した

 

ドラ「これだ、人探し傘」

 

ドラえもんの出した 人探し傘 一見普通の傘であるが、傘の先端に矢印が装着されていて この傘を差して歩くと、矢印が会いたい人の方へ指して誘導してくれる

ジャイアン「というものである」

スネ夫「お前のセリフだったのかよ」

 

ドラえもんはそんな馬鹿二人のやりとりを全く気にせず、傘を広げた

ドラ「のび太君の居場所は?」

 

傘の先端の矢印がグルグルと回り始めた しかし、矢印は一向に止まる気配を見せない

 

ドラ「のび太君の居場所は!?」

 

それでも傘の矢印は止まらなかった

 

ドラ「大変だ……!」

 

スネ夫「は、はは……またまたご冗談を ドラえもんの道具が故障なんてよくあることじゃない」

ジャイアン「そ、そうだよ、3つ共故障してるだけだよ」

ドラ「……」

スネ夫「……そろそろ学校始まる時間じゃない?」

ジャイアン「も、もしかしたら普通に学校にいたりしてなw」

スネ夫「あ、そうだよ、きっとそうだよ!」

ドラ「……2人は、学校があるからそろそろ帰ったほうがいいよ」

スネ夫「じゃ、じゃあそうさせてもらうよ」

 

2人はそう言うとのび太邸を後にした

 

ジャイアン「はぁはぁ、なぁスネ夫、俺らなかなか演技うまかったよな」

スネ夫「え、あ、うん」

 

学校へ行く途中 スネ夫はさっきのドラえもんが3つ目の道具を使った時のことを思い出していた 2つ目を使った時のドラえもんは不安の表情であったが 3つ目の道具を使った時の不安から絶望へ変わる途中、一瞬だけ見せた、憎悪という感情

 

スネ夫「僕の勘違いならいいんだけどな……」

ジャイアン「え?なんか言ったか?」

スネ夫「いやなんでも」

 

キーンコーンカーンコーン

 

ジャイアン「やべぇ!予鈴だ!急げスネ夫!」

 

ガラガラッ!

 

先生「剛田!と、あとお前、あの、あー、アレだよアレ!そう骨川!遅刻しちゃいかんぞ!!」

ジャイアン「すみませーん」

スネ夫「すみません」

 

二人はそれぞれの席についた スネ夫は最前列の一つの席に目をやる のび太の席である、当然のび太がいるはずはなかった

 

先生「野比野比野比はまた遅刻かァ?」

 

先生も他の生徒ものび太の遅刻は日常茶飯事である為 のび太がいなくても誰も意に介さなかった

そして一時間目が終わり、2時間目も終わり、給食の時間になってものび太は現れなかった 給食の配膳中

 

しずかちゃん「のび太さんどうしたのかしら?風邪でも引いたのかしら?」

スネ夫「はは!のび太に限ってそれはないよ!」

ジャイアン「なんてったって馬鹿は風邪を引かないだもんなー!」

しずかちゃん「もうたけしさんったら……!」

出来杉「しずかちゃんプリン頂戴」

しずかちゃん「今日学校が終わったらのび太さんの家へ行ってみましょうか」

ジャイスネ「「そうしよう」」

 

遂にのび太は6時間目が終わっても来なかった 結局のび太は無断欠席ということで先生から家へ連絡が行くらしい

しずかちゃん「結局のび太さん来なかったわね」

ジャイアン「犬に追いかけられて一日中逃げ回ってたんじゃないのw」

スネ夫「ははwありえるねそれw」

しずかちゃん「プリントも届けにのび太さんの家へ行ってみましょう」

スネ夫「そうだね、そうしよう」

 

3人は学校を後にした

のび太邸 しずかちゃんがチャイムを鳴らす 家の中からダッダッダッという足音と共に豪快にドアが開けられた

ママ「のび太は見つかったんですか!?……あ、しずかちゃん」

しずかちゃん「え?見つかるって?どういうことですかママさん」

ママ「実はかくかくしかじかで……」

しずかちゃん「ええ!?昨日の夜から?」

ママ「今先生から連絡があって、学校にもきてないって…… あの子のことだから私何かあったんじゃないかって心配で心配で……」

しずかちゃん「お邪魔します……!」

ジャイスネ「「お邪魔します」」

 

のび太の部屋へあがるとそこにはドラえもんが沢山の道具に囲まれて 必死にパソコンらしきものに何かを打ち込んでいた

しずかちゃん「ドラちゃん!のび太さんは……」

ドラ「……いないんだ!!今ネットワークを通じて世界中からのび太君を探してるんだけど…… 過去100年から未来100年の地球上のどこにもいないんだ!!」

しずかちゃん「そ、そんな……」

しずかちゃん「そうだわ!タイムテレビがあるじゃない!!」

 

タイムテレビ、過去を映し出すミニタイムマシン この存在をスネ夫はすっかり忘れていた 全身のから血が引いていくのがわかる タイムテレビで昨日の事を見られたら…… スネ夫は横目でジャイアンを見た……ジャイアンもまた顔面蒼白であった

 

ドラ「タイムテレビは使えないんだ……」

しずかちゃん「え、どうして!?」

ドラ「22世紀でタイムテレビによるプライバシーの侵害うんたらかんたらで問題になってね 少し前にタイムテレビの販売、使用の前面的に禁止されたんだ」 ドラ「だからほら……」

 

ドラえもんはタイムテレビのスイッチを入れた、しかしザーッという砂画面以外は何も写らない

 

ドラ「他にも道具はどんどん規制されつつある、未来もだんだんやかましくなってきたんだ」

しずかちゃん「……」

 

スネ夫ジャイアンはほっと胸を撫で下ろす 他の道具が規制されてるってことはタイムテレビ系統の道具も禁止されてるはず

 

スネ夫「どうやら神はまだ僕を見放していないようだ……」

ドラ「タイムマシンも今そのプライバシー規制の線引きの真っ最中でね…… 流石にタイムマシンまで禁止になることはないだろうけど、協議中は使用を控えなきゃいけない 僕みたいな公務員ロボットなら尚更ね」

しずかちゃん「そんな……じゃ、のび太さんは……」

ドラ「日本歴史大百科で調べた所、日本には神隠しが歴史上本当に存在してたらしい この歴史上の人達はある日突然姿を消して、一ヶ月後に何事もなく戻ってきたらしい!」

しずかちゃん「じゃあ……」

ドラ「……待つしかないよ、信じて」

 

しずかちゃんはその場で泣き崩れてしまった

 

スネ夫「なんとかならないの?ドラえもん!」

ジャイアン「そうだよ!!規制だの云々言ってる場合じゃねえよ!!使おうぜタイムマシン!!」

スネ夫「いやドラえもんも家庭があるからそういうことはやめたほうがいいんじゃないかな」

ジャイアン「何いってんだよ!!タイムマシンがありゃのび太がどこで消えたのかわかるだろ!!」

スネ夫「うんそうだね、でも協議中は使用を控えなきゃだからね、うん」

ジャイアン「もういい!!ドラえもんがダメなら俺がいく!!それで文句ないだろ!!」

スネ夫「おい待てよ」

ジャイアン「うるせえ!!俺は行くぞ!!」

ジャイアンスネ夫を連れて半ば強引にタイムマシンへ乗り込んだ そしてスロットをあわせ、タイムマシンを動かした タイムマシンの上でスネ夫が怒鳴る

スネ夫「何考えてんだよ!!タイムマシン使ったら一発でバレちまうだろうが!!」

ジャイアン「だからだよ!!あの流れでもししずかちゃんが行くってことになったらそれこそ終わりだろうが!!」

スネ夫「あ、そうか……僕達2人ならいいのか」

ジャイアン「このまま適当な所へ行って、ちょっと時間がたったら帰ればいい」 スネ夫「見直したぜw」

ジャイアン「よせやいw」

ドラ「……あの2人大丈夫かな」

しずかちゃん「きっと大丈夫よ……こういう時あの2人は心強いもの」

ドラ「うん……実はもう一つ気になることがあるんだよね」

しずかちゃん「なぁに?」

ドラ「のび太君が僕の道具を勝手に持ち出したっていうことも考えて 現在の時間軸において未来の道具が地球上のどこにあるか分かるレーダーがあるんだけど ……ちょっとここみてくれる」

しずかちゃん「あら?一つだけ赤い光が点滅してる場所があるわ」

ドラ「……この点滅場所、古い用水路の終着付近なんだ」

しずかちゃん「まさか……」

ドラ「考えたくないよ……のび太君は泳げないんだ!!」

 

その時タイムマシンで一週間後の算数のテスト問題をバッチリコピった2人が帰ってきた もちろん2人は打ち合わせ済みである

 

スネ夫「……」

ジャイアン「……ドラえもん

ドラえもん「やっぱり……」

 

スネ夫は泣き崩れ ジャイアンは仁王立ちしたまま涙をこぼし始めた

 

ジャイアンのび太は……用水路……に落ちて……そのまま」

スネ夫「手に……何か持ってた……」

ドラえもん「……今僕達も見たんだ、タンマウォッチ、確認したら僕のポケットからなくなってた……」

しずかちゃん「あ……ああ……のび太さん……!!」

 

4人は暫くその場で泣いていた

どれほどの時間が経っただろうか、あたりは夕焼け色に染まり 西の空はもう青暗く染まり始めていた

 

しずかちゃん「……今日はもう帰りましょう」

ドラえもん「そうだね……明日、明日のび太君を探しに行こう」

ジャイスネ「「ああ、そうしよう」」

しずかちゃん「それじゃ……また……」

ドラえもん「バイバイ……」

ジャイスネ「「バイバイ」」

 

しずかちゃんが部屋を出て行く

 

スネ夫「僕らも……帰ろうか」

ジャイアン「ああ、そうするか……」

ドラえもん「うん」

ドラえもん「ああ、その前にさ」

ドラえもんのび太君を

 

おいていけ!」

 

ドラえもんの怒声、いやそれは咆哮というべきであろうか 突然の出来事にスネ夫ジャイアンは恐れをなしてその場にへたり込む ドラえもんは無言でポケットから道具を取り出す それは朝ドラえもんのび太君捜索に使ったあの傘であった その傘を広げ、再びこう唱える

 

ドラえもんのび太君は、どこにいる?」

 

傘の上の矢印はやはりクルクルと回るだけであった

 

ドラえもん「この傘は捜してた対象を発見した時、回る仕組みなんだよ、こうやってね」

 

ドラえもんは次に2番目に使った道具、強力においついせき鼻であった ドラえもんはそれを装着すると、辺りの匂いを嗅ぎ始めた もう二人は笑えない、いや笑うことは許されない

 

ドラえもんのび太君の匂いだ、その右のポケット……」

ドラえもん「においついせき鼻で目を疑った、そして人探し傘で確信へ変わった」

ドラえもん「出せよ、大事な僕の親友を」

 

スネ夫は声にならないしぐさでポケットからくしゃくしゃになった2枚の紙を取り出す その紙にはあの清掃員のおじさんと、変わり果てた親友のび太が描かれていた

 

ドラえもん「……」

ジャイアン「わ、悪かった!!!悪かったああああ!!」

スネ夫「ごめんなさあい!!僕達!!僕達!!」

 

二人はドラえもんの前に土下座して何度も謝った ドラえもんはまるで汚い羽虫を見るような目で二人見下した そして、近くにあったタイムテレビのスイッチを入れた そこには昨日の野球の試合から、壮絶なリンチ、遺体の処理、深夜の隠蔽工作 全てが、映し出されていた

 

ドラえもん「こんな……友達が友達を殴り殺してるシーンなんか…………れるか」

ドラえもん「こんなものしずかちゃんに見せれるわけがないだろう!!!」

スネ夫「ごめんなさい!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」

ジャイアン「殺すつもりじゃなかった!!本当だ!!許してくれ!!」

 

ドラえもんは謝る二人を見向きもせず、紙を拾い、ポンと紙の裏面を押した 同時に紙から現れるのび太、変わり果てた姿であったが、ようやく、のび太は我が家に戻れたのである そんなのび太を抱きかかえ、ドラえもんは一筋の涙を流しながら

 

ドラえもん「おかえり……のび太君」

 

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のび太「うわー!!遅刻だ遅刻だ!!」

ドラ「もう!早く起きなさいっていつも言ってるでしょ!」

のび太「そんなこといったってウワーッ!!」

ママ「のび太!!朝ご飯くらい食べていきなさい!!」

のび太「パンもって行くよ!!行って来ます!!」

ドラ「いってらっしゃーい、のび太君」

しずかちゃん「おはよう!のび太さん!」

のび太「あれ?しずかちゃんも寝坊?」

しずかちゃん「ふふ、そうなのよw昨日遅くまで本を読んでたから……」

のび太「ははっ、しずかちゃんもそんなことがあるんだねw」

ジャイアン「おうのび太!!遅刻してんじゃねーぞ!!」

のび太ジャイアンだってそうじゃないか!」

ジャイアン「学校まで競争だ!!」

しずかちゃん「ふふ……のび太さんが戻ってきて本当によかった」

先生「こら!!剛田!源!!そして、野比ッッ!!」

3人「はいっ!!」

先生「遅刻とはたるんどるぞ!!3人共廊下にたっとれ!!」

ジャイアン「あーあ」

しずかちゃん「廊下に立たされるのなんて初めてかもw」

のび太「僕はもうすっかり常連だけどねw」

ジャイアン「……もう一人、いればな」

しずかちゃん「スネ夫さんね……」

のび太「転校、急すぎるよな……」

 

スネ夫は野球の次の日にパパの会社が倒産して急遽転校となった 一部では神隠しなどの噂もたっているが、真相はわからない

 

いつものようにまた、学校が終わり、家へ帰る 残念ながら我が家ではない

 

のび太「ただいま~」

ドラえもん「おかえりのび太君、今日名札を机の上においてったでしょ」

のび太「あ、忘れてた」

 

机の上にある名札を手に取る、名札に刻まれた「野比のび太」の文字

 

ドラえもん「ふふふ」

のび太「……」

ドラえもん「君は、のび太君なんだよ」

のび太「わ、わかってるよ」

 

ドラえもんのび太君の親が死ぬまで、君を知る僕以外の全ての人が死ぬまで」

ドラえもん「君はのび太君じゃないといけないんだよ」

ドラえもん「わかったね?のび太君」




おしまい